不易糊の香りには・・パート②
短い教育実習の終了が近づいた頃に
みんなで
大きな貼り絵を製作しよう と言う事になりました。
先生が私と修平君に、
「放課後に二人とも残って下さい」
と言われました。
「沢山の物を買わなくてはならないので買い物を手伝ってほしい」
そう言われて
三人で文房具屋さんまで歩いていく訳ですが、
両手で私たちと手を繫いで下さいます。
修平君とは反対で、
私はその時に初めて照れてしまって、繫いで下さってる
手を離し、
行きも帰りも二人の前をドンドンと一人で歩いて おりました。
後ろを振り返ると
修平君はチャッカリと行きも帰りも手を繋いで、
満面の笑みを浮かべて歩いておりました。
先生は前を歩いている私を見てニコニコと微笑んでおられます。
使う時は勿論のこと、使わない時でもこっそり
匂いを嗅いでます、恥ずかしいですが
さあ翌日です、
たくさんの画用紙と色紙に、本当にたくさんの糊、
「この重たい糊を一人で持ってくれた子がいます」
先生は言ってくれますが、
誉められた事のない私は緊張と照れで
中々思うような貼り絵が出来ません。
それでも糊をベトベト使って一生懸命に貼り絵を作ったのですが、
残念ながら今となっては何を作ったのかが思い出せません。
思い出すのは修平君と目を合わせ、不易(フエキ)糊の甘く芳しい
香りに包まれて、
「何時も使ってる糊はこんなにいい匂いだったのか・・」
と思った事です。
「あの先生はどうしていらっしゃるんだろう」
「修平はどうしているんだろう」
もう50年も前の話です。
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